「らんまん」の牧野博士とタンポポ
現在NHKの連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルでもある牧野富太郎博士は「日本植物学の父」です。
1904年に牧野富太郎博士は、セイヨウタンポポが北海道に定着していることを発見され、将来日本中に分布すると予想されました。
その後1985年に森田竜義博士が、雑種タンポポを発見されました。
1990年代になると、分布の95%ほどが雑種タンポポであることがわかりました。
身近にみられるタンポポには、在来種タンポポ、セイヨウタンポポ、雑種タンポポがあり、区別することもなく黄色の花を楽しんでいますが、実際は雑種タンポポを観ているのかもしれません。
在来種タンポポ(カンサイタンポポ、カントウタンポポ、シナノタンポポ、トウカイタンポポなど)は、里山のような土地に分布します。
在来種タンポポ(2倍体)は、受粉して種子が実りますが、自分の花粉では種子が実らないという性質をもつので、種を作って繁殖するには同種のタンポポの群れと花粉を運ぶ昆虫が必要です。
セイヨウタンポポは、明治初期に日本に持ち込まれたようです。採草地,都市的環境など造成された土地に分布してきた帰化植物です。
セイヨウタンポポ(3倍体)は、受粉せずに種子が実ります。その種子は、親と遺伝的に同じクローンですので、たった1個体で種を作り繁殖できます。
新たな裸地にセイヨウタンポポが誕生すると次々と種子を実らせ、その種子は、再び風に乗って別の裸地へ入り込んでいきます。このように分布を広げていきます。
里山の土地の造成により、裸地になり在来種タンポポは生育できなくなり、セイヨウタンポポが繁殖するようになったと考えられています。
雑種タンポポは、セイヨウタンポポの花粉が在来種タンポポの雌しべに受粉するとき偶然に雑種タンポポが生まれたようです。
セイヨウタンポポはクローンで増えるので、花粉を作らなくてよさそうですが、不思議にもセイヨウタンポポでは花粉が作られます。
現在は、日本各地に雑種タンポポが広がっています。セイヨウタンポポに似たタンポポのうち、80%近くが雑種タンポポだという報告もあります。
ところで、セイヨウタンポポのように受精せずに種子をつける生殖の方法を「アポミクシス」といいます。
分子生物学において、オランダにある農業バイオテクノロジー企業のキー・ジーン(KeyGene)社やオランダのワーゲニンゲン大学の研究グループは、
アポミクシスで繁殖するセイヨウタンポポの研究を行い、アポミクシスの主要な遺伝子(PAR遺伝子)を発見しました。
このセイヨウタンポポのPAR遺伝子を、アポミクシス植物ではないレタスに注入すると、卵細胞が胚へと成長し単為生殖(クローン発生)しました。
レタスは受精していないのに繁殖しました。