2022年ヒトゲノムの完全解読に成功
ヒトゲノムの完全解析プロジェクトは、1990年からヒトゲノム解析計画(Human Genome Project)が始まりました。
この計画には米英日仏独中の6カ国が参加し、2003年4月に92%の配列が解読されました。しかし、まだ不明な部分が8%残っていました。
この8%の部分は、「ジャンクDNA」と呼ばれる染色体の末端部「テロメア」や中央部「セントロメア」の部分でした。この配列は繰り返しが多く、解読するのは困難だったようです。
その後、約20年経過し、2022年ついに完全解読に成功しました。
ヒトの体は約60兆個の細胞でできています。細胞内の染色体にはDNAがあり、その中には遺伝子が含まれています。
生命の設計図を意味するゲノム(genome)という言葉は、遺伝子(gene)と染色体(chromosome)を組み合わせた造語です。
ヒトのゲノムの構成であるDNAはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類の塩基で約30億対(二重らせん構造のため全体では60億個)の配列を作っています。
そのうち遺伝子は、2万1000~2000個です。30年前にヒトの遺伝子は10万個以上だろうと考えられていましたが、キイロショウジョウバエの遺伝子(1万4000)やマウスの遺伝子(2万2000~3000個)と同じくらいでした。ヒトなどの高等生物は、一つの遺伝子から複数のたんぱく質を作ることができるので、遺伝子の数を増やさなくてもよかったようです。
今回、完全なヒトゲノム配列が得られたことにより、ヒトゲノムでの変異を理解し、病気に関連するたくさんの遺伝子変異についてより正確にわかるようになりました。
実際に、ヒトゲノム上に新しく200万以上の変異を発見したり、病気に関連のある変異を見つけています。
近い将来、このゲノム配列が日常の診療に応用されるでしょう。