咳(咳嗽)の種類と原因
咳は持続の期間によって名称が変わってきます。
・急性咳嗽は、発症して、3週間以内のせき。
・遷延性咳嗽は、発症後3週間以上8週間未満の持続するせき。
・慢性咳嗽は、8週間以上持続するせき。
と分類されます。
多くの場合、急性咳嗽は気道の感染症によって起こりますが、せいぜい1~2週間ですので、持続時間が長くなるにつれて感染症の可能性が低くなります。
気管支喘息や咳喘息、後鼻漏による咳やアレルギー性気管支炎などの鑑別をしていきます。咳喘息は慢性咳嗽の40%を占めます。
他に、遷延性咳嗽や慢性咳嗽の原因に、胃食道逆流症が合併することがあります。
胃食道逆流症の食道症状は胸やけなどですが、食道以外の症状に咳嗽があります。
胃と食道の間は下部食道括約筋があり逆流防止をしていますが、下部食道括約筋が一時的にゆるむとゲップがでます。
胃の内容物が逆流することもあります。この回数が増えると食道症状だけでなく咳が出たりします。
慢性咳嗽の10%を占めます。このような咳は、呼吸器だけでなく消化器も関連してきます。
逆流した食物などが下部食道の迷走神経を刺激することで中枢を介して反射的に咳嗽を誘発することが知られています。
また、酢を飲むと咳き込む現象のように、喉の咽頭・喉頭は敏感なので、逆流した食物が下部食道から喉までくるとその刺激で咳がでます。
逆流が下部食道までですと胃酸を抑える薬で咳も軽減できますが、逆流が喉までくる場合は薬では軽減しにくいので、日ごろの工夫が必要です。
食後に前かがみの姿勢をしたり、食後に重いものをかかえたり、食後に横になったりすると腹圧を上げて逆流しやすくなります。
またお腹が肥満傾向でも起こりますし、食べ過ぎで胃を拡張して下部食道括約筋をゆるめてしまっても起こります。