ドーピングと漢方薬
スポーツドクターとしてドーピングと医薬品に気を付けています
ドーピングとは競技力を高める為に薬物などを使用したり、それらの使用を隠したりする行為です。
ドーピング違反は、ドーピング検査で禁止物質の痕跡が認められればどんな理由があっても違反となります。
従って、不注意による「うっかりミス」であっても制裁の対象となります。
ドーピング禁止物質といえば、「男性ホルモン」、「筋肉増強剤」や「ステロイド」などを連想されますが、病院で処方される薬やドラッグストア等で購入できる市販薬やサプリメントにも含まれていることがあり、注意が必要です。特に、①筋肉増強、②脂肪燃焼、③やせることなどを目的とするサプリメントは、注意が必要です。
①には蛋白同化ホルモン(男性ホルモン)、②には、エフェドリン(エフェドラ)、
③には利尿薬・エフェドリンな どの禁止物質が含まれていたという報告があります。
〇禁止物質は3つに分類されます。
1. 常に禁止されている物質 (使ってはいけない)
2. 競技会において禁止される物質 (競技大会中だけ禁止)
3. 特定の競技において禁止される物質 (該当競技以外の選手は使ってOK)
漢方薬と生薬は注意が必要です。
生薬は、天然物の一部を加工(干すなど)して作られています。
その生薬を組み合わせてできたものが漢方薬です。
漢方薬を構成する生薬の中には、禁止物質を含むものがあります。
常に禁止されている物質のβ2作動薬(ヒゲナミン)や競技会において禁止されている物質の中枢神経興奮剤(エフェドリン・プソイドエフェドリン)を含むものがあります。
このような生薬を含む漢方薬は禁止物質を含むので使用できません。
生薬に含まれるすべての成分が明らかではありません。
生薬に禁止物質を含まないと保証もないため、ドーピング検査の1週間前から全ての漢方薬を飲まないほうが良いとされています。
禁止物質・禁止方法を定めた禁止表は、毎年1月1日に更新されます。
毎年、確認が必要です。