SIBOとIBS
上下部内視鏡、腹部エコーで検査しても原因不明の腹痛、便秘、下痢、腹満感を自覚される方々の中に、かなりの割合でSIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth:小腸内細菌増殖症)が存在することがわかってきました。
ストレスなどが原因で発症する過敏性腸症候群(IBS)と診断されていた方にも、このSIBOが含まれています。
*IBS:過敏性腸症候群とは
ストレスによって不安な状態になると、自律神経やホルモンが乱れます。そのため腸の蠕動運動が不安定な状態になります。さらに痛みを感じる知覚過敏の状態になります。 これにより、便秘や下痢といった便通異常が引き起こされ、腹痛が起こります。
治療としては、自律神経を整えることをしますが、内服薬がいくつかありますので、種類や量を調節することで症状が軽減できます。
*SIBO:小腸内細菌増殖症とは
食物が通過する小腸と大腸をみると、小腸は普段液体で満たされ、細菌も多くは存在せず、ガスも少なく、栄養を吸収する働きをしています。
一方、大腸には多数の腸内細菌が存在し、健康に大きな影響を及ぼしていることがわかっています。
いろいろな原因から小腸内細菌が急激に増殖し、豊富な栄養を分解して多量のガスを産生してしまうケースがあります。これを小腸内細菌増殖症(SIBO)といいます。小腸が発生した多量のガス(メタンや水素ガス)により著しく拡張し、お腹が膨らむことで腹痛が起こります。
SIBOの発症原因は、
① 小腸内への雑菌侵入を防いでいる胃酸の減少(摂食不良や鉄欠乏によるエネルギー不足、ピロリ菌感染、胃酸抑制薬の乱用)、
② 膵液・胆汁の減少(胆のう摘出、慢性膵炎、ストレス)、
③ 腸管運動低下による腸内クリーニング機能の低下(糖尿病、低血糖による過緊張)、
④ 大腸との境界となる回盲弁の機能低下などです。
治療としては、小腸内の雑菌を増殖させないようにします。
低FODMAP食によりSIBOの原因食品をみつけて、摂取をひかえていきます。
低FODMAP食(低フォドマップ食)について
FODMAP食は、小腸で消化吸収されず大腸での発酵性を有する糖質の総称です。
低FODMAP食(低フォドマップ食)による治療とは、FODMAP(フォドマップ)(下記参照)を多く含む食品を控えてお腹の調子を回復させる食事療法です。
F:発酵性の糖類 O:オリゴ糖 D:二糖類 O:オリゴ糖 P:ポリオール(糖アルコール)を3週間ほど全て控えます。その後、1つずつ徐々に再開します。それにより症状が出現したら原因食品がわかります。(低FODMAP食)
代表的な低FODMAP(低フォドマップ)の食品は、米や玄米、肉や魚介類、卵、オリーブオイルなどです
低FODMAP食による治療法は、
食事内容を制限するものではなく、自分の不調の原因を探すことが目的です。
原因食品が見つかったら、その食品摂取をひかえてみてみることから始めます。
ただし、低FODMAP食による治療法は、必ずしも全員に効果があるわけではないですし、症状を悪化させることもあります。
改善しない場合は、サプリメントを試すケースもあります。