スポーツと乳酸
世界陸上パリ2003年の男子200mで銅メダルを獲得された末續慎吾選手は熊本の方です。
陸上スプリント種目で日本人選手初のメダル獲得でした。
指導されていた高野進監督と抱きあっていたシーンを覚えています。
日本陸上競技選手権大会横浜2003年の男子200m 200メートルで出された日本新記録20秒03は今も破られていません。
ところで、陸上スポーツで最もきつい種目は、400mハードルと400m走の2種目と言われていますが、
きついときに「乳酸が溜まって・・・」とは言われなくなりました。
乳酸は運動時にエネルギー源として糖が分解される際に生成される物質です。
これまで乳酸が疲労物質と考えられていましたが、現在は疲労物質ではないことがわかっています。
先の箱根駅伝で東大大学院の古川大晃選手に給水をされた八田秀雄教授(乳酸の研究)が2006年にも語られたように、
乳酸は、疲労の原因ではなく、エネルギー源として体内で重要な役割を担っていることが分かっています。
これまで、運動時の乳酸値上昇が疲労の指標として用いられたため、
体内が無酸素状態になると乳酸ができて、それによって体内が酸性になることが疲労の原因と言われてきました。
そのため乳酸をなんとかすれば、疲労は回復するように考えられてきました。
しかし、更なる研究により、乳酸は、筋肉だけでなく、脳の神経細胞や心筋でも、エネルギー源であるとわかったため、
今では、乳酸は、疲労物質ではなく、疲労回復を助ける物質であり、
筋肉や脳や心臓のエネルギー源となる大切な物質として認識されるようになりました。
最近は、運動時の疲労を起こす要因はリン酸の蓄積と考えられています。