首のリンパ節腫脹と菊池病
当院には10歳代から20歳代の方で、首のしこりやリンパ節の腫れが出現したため来院される方がおられます。
感染症や自己免疫性疾患、リンパ腫の鑑別をするため血液検査や頚部エコー検査をしています。
鑑別の中に、菊池病もあります。
この病気は、「組織球性壊死性リンパ節炎」、「亜急性壊死性リンパ節炎」と呼ばれる良性疾患です。
30歳未満の方に多く、首のリンパ節の腫れや発熱などの症状がでます。腫れは痛いことが多いようです。
九州大学の病理学講座におられた菊池昌弘先生らにより発見され1972年に日本で最初に報告されました。そのため、菊池病と呼ばれます。
原因不明ですがウイルス感染や免疫反応などが関与しているとも言われます。
多くの場合、自然に良くなる良性疾患なので解熱鎮痛剤で様子をみますが、再発もあるようです。
首のリンパ節の腫れは、悪性リンパ腫などでも同じような症状で進行する事があるため、経過観察が必要です。
リンパ節の腫れがひかなかったり、腫れたリンパ節の数が増えたり、治療経過が良くない場合には、
専門病院の血液内科に紹介し、リンパ節の生検検査により確定診断となります。
菊池病なのか、自己免疫性疾患なのか、悪性リンパ腫なのかが判明します。