長引く咳
開業してのべ5000人の患者様を診てきました。8月9月も咳が3週以上長引く咳の方が多く来られます。
私どもは中核病院の呼吸器内科の先生方と連携しながら診療しています。百日咳や咳喘息は外来通院で治療が出来ますが、重症の肺炎や重症の気管支喘息では入院加療になります。
咳(咳嗽)での診断が大切になります。
咳が続く期間で、急性、遷延性、慢性と3つに区別されます。
・急性咳嗽は、発症して、3週間以内の咳。
・遷延性咳嗽は、発症後3週間以上8週間未満の持続する咳。
・慢性咳嗽は、8週間以上持続する咳。
咳が3週間以内では、痰があってもなくても、急性気管支炎、急性副鼻腔疾患、慢性気道疾患の急性増悪、肺炎を考えます。
咳が3週間以上つづき、痰がでるとき副鼻腔気管支症候群、後鼻漏症候群、慢性気管支炎を考えます。
咳が3週間以上つづき、痰がでないときは、咳喘息とアトピー咳嗽を考えます。この2つを区別するには2~3日かかります。両方とも感染感染疾患ではありませんので、まず感染の有無を確認が必要です。
咳喘息は、喘息の前の段階と考えられており、咳喘息の治療を中止すると気管支喘息になってしまう例があります。咳喘息は、気管支喘息のような喘鳴がありません。咳喘息は気管支の収縮により咳がでます。そのため咳喘息の治療は、気管支拡張薬が主体となります。この気管支拡張薬には、咳を止める作用がありませんが、咳喘息ならば気管支拡張薬によって咳が減ります。咳が減らなければ、アトピー咳嗽を考えます。
アトピー咳嗽は、気道の咳受容体の感受性の亢進により咳が出やすくなります。気管支拡張薬だけでは咳が止まりません。
咳が3週間以上つづき、痰がでないときは、まず気管支拡張薬を投与し、咳が減れば咳喘息と診断します。さらに吸入ステロイドなど気管支喘息の治療も追加します。
この診断には2~3日かかるため、通院の患者様は、咳が止まるのかどうか不安に思われる時期になり、つらい時期になります。
アトピー咳嗽は、治療を中止しても再発は少ないのですが、咳喘息は治療を中止すると気管支喘息へ移行するため、2~3日かけても両方の見極めが重要です。両方ともに強い咳が続くときは、経口ステロイド治療も開始します。
肺炎や重症の気管支喘息で入院された患者様は開放型共同診療により入院中の主治医の先生と一緒に診療をしています。退院された後もスムーズに外来診療できるよう経過をみています。
これからも私どもは地域医療に貢献していきます。