朝起きれない
朝起きられない原因
学校医をしていると朝起きれない生徒の相談があります。
25年以上所属している睡眠学会で睡眠の質に携わっています。
原因は多数あり、診断するには、睡眠ポリグラフ検査(PSG)、反復睡眠潜時検査(MSLT)、アクチグラフ検査など詳細な検査が必要なため、
睡眠専門機関や専門の心療内科との協力が必要になります。
原因のいくつか
〇睡眠負債:慢性的な睡眠不足(寝不足)が蓄積されて心身に支障をきたします。
1日当たり1時間の睡眠不足を解消するのに4日間かかります。
休日に12時~15時の間に2時間以内の昼寝で睡眠負債の返済に効果があります。 15時以降の昼寝は逆効果です。
〇睡眠相後退症候群:体内時計の乱れが原因です。
朝に強い光(高照度光療法)を浴びることや、薬剤(ロゼレム・エビリファイ)を服用する治療が有効です。
〇起立性調節障害:自律神経機能の不調が原因です。
起立直後に強い血圧低下、立ちくらみ、全身倦怠感があります。
規則正しい生活の指導や十分な水分摂取することや、昇圧剤の内服治療等があります。
〇特発性過眠症:慢性的な睡眠不足がないのに、日中の強い眠気のために日常生活に支障をきたします。
原因は不明ですが、遺伝的背景があり遺伝子研究がされています。
特発性過眠症の特徴は、居眠りの時間は1 時間以上続く。眠気があってもある居眠りを我慢可能。目覚まし時計で簡単に目覚めず、覚醒までに何回も眠り込む。しかも、目覚めてもすっきりしない。1 日の総睡眠時間が11 時間以上などがあります。
*ナルコレプシーと異なる点:
ナルコレプシーは、居眠りの時間は通常30 分以内。抵抗できずに居眠り。すっきりと目覚める。1 日の総睡眠時間は正常などがあります。
〇長時間睡眠体質(ロングスリーパー):睡眠時間が長く眠りますが、睡眠が不足していなければ、日中の眠気や疲労感が生じることなく、
普通の人と同じように活動できるので、必ずしも病気とは言えないと考えられています。
ロングスリーパーの基準:大人は10時間以上の場合。子どもは、同世代の睡眠時間より2時間以上長い場合となっています。
〇睡眠時無呼吸症候群:眠りの質を悪くします。体重管理やCPAP療法があります。
〇仕事や学業の悩み・人間関係・ストレス:職場や学校に行きたくないという思いにより、起きる意欲がわかないという心理的な原因です。
心理的原因が強い場合は、専門的なカウンセリング治療が必要です。
発達障害が原因で睡眠リズムが乱れるときは、発達障害に適した行動療法が必要となります。