風邪のなかでも鼻水の症状が出やすい感染症
風邪(風邪症候群)は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、痰、発熱などの症状の総称をいいます。
こじらせて重症化すると、気管支炎や肺炎、喘息などを合併することがあります。
主な原因はウイルス感染です。
風邪を起こすウイルスは200種類以上あるだけでなく、同じウイルスでも多数の型があり、毎年変異するため、
感染して免疫が出来ても、翌年の新しい型のウイルス感染により繰り返し風邪をひくことになります。
呼吸器感染症を起こすのは、コロナやインフルエンザだけでなく、
ライノウイルス、コクサッキーウイルスAやB、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、エンテロウイルスヒトメタニューモウイルス、RSウイルスがあります。
ライノウイルスやRSウイルスは鼻水が出やすい感染症です。
・主に鼻風邪を引き起こすライノウイルスは、血清型が100種類以上もあり、風邪の30~50%を占めます。
ライノはギリシア語の鼻を意味します。鼻水、咳、喉の痛み、発熱症状など呼吸器症状がでます。
ウイルスファミリーの中で、ピコルナウイルス科には17属あり、その中のエンテロウイルス属が12種あります。
エンテロウイルス属にはエンテロウイルスとライノウイルスが含まれますが、
エンテロウイルス属の中のヒトエンテロウイルスはA/B/C/Dの4つの種に分類され,ライノウイルスはA/B/Cの3つの種に分類されます。
ライノウイルスは空気中に常在しており、感染すると喘息発症に関与すると言われています。
ライノウイルスの潜伏期は1~3日なので、患者と接触したら対策が必要です。
表面がエンベロープで覆われているコロナウイルスやインフルエンザウイルスは、アルコール消毒液や石けんにさらされるとエンベロープが破壊され、感染能力がなくなるといわれますが、ライノウイルスにはエンベロープがないため、アルコール消毒液は効きにくく、予防には、基本的な方法の石けんと水による手洗いが有効です。また、マスクによる感染防止効果が高くないため、換気が大切です。
・夏かぜを引き起こすコクサッキーウイルスは、ヘルパンギーナや手足口病を発症させます。
コクサッキーウイルスAによるヘルパンギーナは感染者の唾液や排泄物などから感染し、38-39℃の高熱とのどの痛みが出現します。
コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによる手足口病は初めヘルパンギーナと診断され、
手足に皮疹が出たあと、手足口病に診断名が変わることがあります。感染者の唾液や水疱の液から感染します。
・咽頭結膜熱やプール熱を引き起こすアデノウイルスは、プール病、咽頭炎や気管支炎を発症させます。感染者の唾液や目やにから感染します。
39-40℃の高熱と同時に咽頭痛、目の充血が見られます。目の充血は片方から始まり、次にもう片方に出現します。
鼻や喉の風邪を起こすパラインフルエンザウイルス(インフルエンザとは別物)は、喉頭に炎症を起こすため、声のかすれ、咳や喘鳴などの症状が起こします。
・夏風邪を起こすエンテロウイルス は、風邪の症状のほか下痢を起こすこともあります。
・3-6月に風邪の集団感染を起こすヒトメタニューモウイルスは、2001年にオランダの研究者が発見されたウイルスで、
鼻水、咳、38-39℃の高熱などヒトメタニューモウイルス感染症を発症させます。
重症化すると気管支炎や肺炎になることもあります。
・一般的な風邪よりも鼻水を起こすRSウイルス感染症は、感染力が強く、2歳までにほぼ全員が感染してしまうそうです。
小児がRSウイルス感染症になると60歳以上の方が感染し重症化すると肺炎等になる危険があります。
RSワクチン開発がされました。60歳以上の方々や妊婦の方々にワクチン接種が可能となっています。
60歳以上の方々は、RSワクチン接種が推奨されています。
・当院では60歳以上の方々の希望者にRSワクチン接種(自費)をします。効果は2年です。
妊婦の方々は婦人科等で接種をお願いします。
RSワクチン接種をすることで、出産したの子供がRSウイルスに感染した時に重症化リスクが軽減できると言われています。
・このように、風邪の主な原因はウイルス感染ですが、他に細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどの感染もあります。
喉が痛い時、ウイルスだけではなく、細菌感染も考えます。中でも溶連菌の感染が重要です。
当院では、溶連菌検査、インフルエンザウイルス検査、RSウイルス検査(自費のみ)が可能です。